循環器用語ハンドブック
非ステロイド性消炎鎮痛薬〈nonsteroidal anti-inflammatory drugs;NSAIDs〉
ステロイド以外で抗炎症作用をもつ薬剤を総称して、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)と呼ぶ。この薬剤は鎮痛、解熱、抗炎症、抗血栓の各作用をもつが、その働きの大部分はアラキドン酸代謝においてシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによって、プロスタグランジンの産生を抑制する作用によるとされている。循環器領域においては、虚血性心疾患や脳血栓症において抗血小板薬として使用される場合と、心外膜炎や心筋炎の際に抗炎症薬として使用される場合が主である。
化学構造からは、酸性と塩基性に分類されており、酸性のNSAIDsはさらにサリチル酸系、フェナム酸系、プロピオン酸系、フェニル酢酸系、インドール酢酸系、ヘテロ環酢酸系、ピラノ酢酸系、アリール酢酸系、ピラゾロン系、オキシカム系の11種類に分類されている。抗血小板作用を期待して使用される薬剤はサリチル酸系のアスピリンのみであるが、心外膜炎には他の抗炎症薬も有効である。
近年、COXにはCOX-1とCOX-2と呼ばれる2種類のアイソザイムがあることが明らかになった。COX-1はすべての細胞に存在し生理的役割を担っているのに対し、COX-2はマクロファージ、線維細胞など特定の細胞にのみ存在しサイトカインやホルモンで誘導され、その遺伝子発現は急速で一過性であり、主として炎症に関わる。抗炎症作用としてはCOX-2のみを抑制するほうが有用であり、 現在、 COX-2選択性阻害薬を開発中である。

