循環器用語ハンドブック
植込み型除細動器〈implantable cardioverter defibrillator;ICD〉
心室頻拍や心室細動による突然死の予防に電気的除細動は不可欠であるが、これを体内へ植込み可能としたものがICD(implantable cardioverter difibrillator)である。薬物による管理が困難である致死性頻拍症例が適応となり、発作時に直流除細動によって頻拍停止を行う。
ICDの概念は1960年にMirowskiらによって提唱され、初めての臨床応用は1980年であった。本邦ではその導入がかなり遅れ、1996年にようやく保険適用が認められている。
臨床応用以来20年間にICDの技術は飛躍的に進化し、第1世代(除細動+カルディオバージョン)より第2世代(体外からのプログラム可能)、第3世代(非開胸リードシステム、抗頻拍およびバックアップペーシング、メモリー機能、前胸部への植込み可能)を経て、現在に至る。現在のICDは第4世代と呼ばれ、小型軽量化だけでなく1本の経静脈リードと本体電極(active can)との間での通電が可能となったことが特徴である。さらに、今後、使用可能予定であるdual chamber systemでは心房波形と心室波形を独立して認識し、その関係より上室性頻拍や頻脈性心房細動を除外することで、誤動作の大幅な減少が期待される。
CASH(The Cardiac Arrest Study Hambrug、1987年)、AVID(The Antiarrhythmics versus Implantable Defibrillators、1993年)などの大規模臨床試験により、ICDの突然死予防および生命予後の改善への有用性が明らかにされ、1995年にICDの植込み適応基準がACC/AHAにより提唱された。さらにその後、突然死のhigh risk症例に対する予防的治療としてのICDの有用性を検討する大規模試験が進行し(MADIT、CABG path trial、CATなど)、その結果により1998年に改訂されたACC/AHA適応基準ではその範囲がさらに拡大している。
ただし、誤動作防止のプログラム、本体小型化、コスト削減など今後さらに改良すべき点も残る。

