循環器用語ハンドブック
着用型自動除細動器〈wearable cardioverter defibrillator;WCD〉
着用型自動除細動器(wearable cardioverter defibrillator;WCD)は、致死性不整脈に対して自動で除細動を行える着脱型デバイスである。心電図電極と除細動パッドを有するベスト部分と、有線のコントローラから構成される。
心臓突然死の予防には植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator;ICD)が有用である。一方でWCDは非侵襲的に使用可能であり、ICD植込みまでの不整脈死予防手段として有用である。患者はWCDの採寸、着用トレーニングを受けた後、WCDの着用を開始する。WCDが不整脈を検出するとアラームが鳴動するが、患者に意識があれば手動でアラームを停止し、ショック作動を中止でき、意識がなければショック作動に至る。医療者側は遠隔モニタリングで作動状況を確認することができ、保険診療上、3ヵ月までの着用が認められている。
WCDの適応について述べる。器質的心疾患において心筋保護薬などによる治療介入後、左室駆出率が35%以上まで改善した症例では、突然死リスクが減少するため、治療介入の効果判定後にICDの適応を再検討するが、治療介入後早期は致死性不整脈のリスクが高いため、WCDをICD植込みまでの橋渡しとして使用する。急性冠症候群治療例においても、亜急性期までWCDを使用し、治療効果に応じてICDの適応を再検討する。近年使用経験の増加からWEARIT-Ⅱ試験等複数の臨床試験で上記期間の使用においての安全性と有用性が報告されている。その他デバイス感染症のためICD抜去後、新規ICD植込みまでや、他科領域疾患併存例で当該疾患への治療が奏効し12ヵ月以上の生命予後が得られればICDの植込み適応が考慮される症例などでも、待機期間中の致死性不整脈による心臓突然死のリスクを低減することが可能となる。

