循環器用語ハンドブック
DC(直流)ショック〈direct current shock〉
各種頻脈性不整脈の治療に使用されるDC(直流)ショックには、大別して心室細動に対する除細動(defibrillation)と、それ以外の不整脈の停止を目的にQRS波に同期させて通電を行うカルディオバージョン(cardioversion)がある。適応となるのは心室細動、心室頻拍、心房細動、心房粗動、上室性頻拍で、その機序がリエントリーのものである。自動能亢進による頻拍は心筋梗塞急性期、心筋炎、ジギタリス中毒などでみられるが、この機序によるものにはDCショックは無効である。特にジギタリス中毒時にはDCショックで心室細動が誘発される場合があるので、相対的禁忌である。
心室細動では発見後直ちに前胸部叩打を行う。洞調律に復さない場合は心肺蘇生を実施しながら除細動の準備をし、十分なエネルギー量(通常は200~300J以上)でDCショックを行う。心室細動の持続時間が長いほど除細動閾値は上昇するので、迅速に行うことが肝要である。除細動に成功しない場合は通電エネルギーを最大にして行うが、無効の場合はエピネフリン1mgを静注後除細動を試みる。また電解質異常やアシドーシスについても速やかな補正が必要である。リドカインは一般に除細動閾値を上昇させるので、使用する場合は初期量として1mg/kgを静注し、最大量でも3mg/kgを超えないようにする。なお心室細動の除細動機序については、興奮波完全消失説、限界量説、受攻エネルギー上限説、再分極同期説などがあるが、与えるエネルギー量とそのタイミングによって想定される機序は異なるようである。
意識が保たれ、血行動態が比較的安定している頻拍では待機的にカルディオバージョンを行う。高濃度の酸素を吸引させ動脈血酸素濃度を十分に上げた後、チオペンタール100~200mgの静注などで麻酔をし、QRS波に同期させて通電を行う。上室性頻拍や心房粗動では数十Jで、心室頻拍では100J程度で洞調律に復帰することが多いが、心房細動では100~200Jを要することが多い。

