循環器用語ハンドブック
リードレスペースメーカ〈leadless pacemaker;LPM〉
従来型のペースメーカは、皮下植込み型のジェネレータと、経静脈リードで構成されているが、それらが一体となったカプセル型(容量1cc、重量1.75g、長さ25.9mm)のリードレスペースメーカ(leadless pacemaker;LPM)が2017年9月から使用可能となった。2023年1月現在、国内で使用できるLPMはMedtronic社のMicra™のみである。電池寿命、MRI対応の点で従来型に遜色がなく、簡便な手技で植込み可能である。
①大腿静脈からイントロデューサー(27Fr)を挿入、
②先端に本体が糸で接続された可変式デリバリーシースを先進、
③本体を右室中隔に押し付け、先端のタインを心筋に食い込ませる、
④固定後、計測値に問題なければ糸を切り離し留置が完了する。
合併症に、術中の心血管損傷、固定不良や計測値不良による留置困難、術後のdislocationがある。遠隔モニタリングは手動送信のみ可能であること、電池消耗時は新たな本体を追加することも患者に伝えておく。
LPMは発売当初VVI型のみであり、心房ペースが不要な徐脈性心房細動、バックアップ目的での一過性徐脈が適応であった。現在は加速度センサを有したVDD型のMicra™ 経カテーテルペーシングシステム(Micra™ AV)が使用可能であり、房室ブロック症例にも選択しやすくなったが、心房心室順次ペーシングの成功率は70~90%である。心房に留置するDDD型はなく、心房ペースを要する症例への適応は慎重に検討する。
リードと皮下植込み型ジェネレータがないメリットは大きく、従来型の植込みが難しい症例への新たな選択肢である。易感染性(例:ステロイド内服中、脆弱な皮膚、デバイス抜去後)、静脈アクセス制限(例:透析シャント、乳癌術後)、術後安静困難(例:認知症、せん妄)、美容的要因による植え込み拒否(例:若年例)において検討される。

