循環器用語ハンドブック

ジギタリス中毒〈digitalis intoxication(poisoning)〉

ジギタリスの血中濃度上昇によって生じる副作用。自覚症状として、食欲不振、悪心、嘔吐などの消化器症状、頭痛、めまいなどの神経症状やかすみ、黄視などの視覚症状の訴えを認める。臨床的に重要となるのは不整脈であり、高度徐脈、心室性期外収縮、Ⅱ度以上の房室ブロック、非発作性房室接合部性頻拍などの種々のタイプの不整脈が出現する。ジギタリス中毒の誘因として、血清電解質異常(特に低K血症、高Ca血症、低Mg血症)や腎機能低下が多く、高齢者、低酸素血症、低蛋白血症や重症心不全例でも注意を要する。

ループ利尿薬、Ca製剤、カテコラミン製剤、キニジン、ベラパミル、スピロノラクトン、アミオダロンなどを併用する場合は、薬物相互作用により血中ジギタリス濃度が上昇するため中毒を生じやすい。そのため、これらの薬物を併用する際にはジギタリスの投与量を減量する必要がある。ジギタリスの効果判定、中毒予防および早期発見のためには血中濃度モニタリングを行い、至適濃度の範囲内にあるか否かを参考にする。ジギタリス中毒が疑われたら、直ちに投与を中止する。血液検査を行い中毒の誘因を検討するとともに、心電図で不整脈の評価を行う。電解質異常があれば補正を行う。重症心室性不整脈の出現により血行動態の悪化をきたす場合、リドカインなどの抗不整脈薬を投与する。徐脈性不整脈に対してはアトロピン投与あるいは一時的ペーシングを行う。

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