循環器用語ハンドブック

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)/緩和ケア

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)には広義と狭義の2つの考え方があり、広義のACPは「本人の価値観、大切なこと、希望、人生の目標、将来の医療に対する選好などを考慮しながら、本人、家族、本人の意思を推定する者、医療提供者の間で将来の治療・ケアのプランを話し合うプロセス」と定義されている。狭義のACPは「本人が自分で意思決定ができなくなった場合に備えて上記と同様に将来の医療・ケアについて話し合うプロセス」とされており、このなかで本人の①治療・ケアの希望、②代理意思決定者が誰か、を前もって示すものとして事前指示がある。

ACPの目的は患者本人の意向に沿った医療・ケアを行うことであり、基本的には本人に病名や病状、予想される今後の経過と見通しを伝えたうえで話し合いを行う。また病状や周囲の状況変化などによって本人の気持ちは変わりうるため、繰り返し話し合うプロセスが大切である。

緩和ケアとは、2018年の世界保健機関(WHO)による定義では、「生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し、的確に評価し対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチ」とされ、すべての人が受けることができるよう整備しなければならない医療の1つとして位置づけられている。たとえば心不全患者であれば、病初期から労作時息切れなどの身体的苦痛に加えて、就労困難や家族サポートの欠如などさまざまな苦痛を抱えることが多く、心不全に対する治療と同時に、これらの苦痛の評価や苦痛を和らげる緩和ケアの提供が重要である。緩和ケアにはいわゆるエンドオブライフ・ケア(人生の最終段階における医療)も包含されるが、緩和ケアの開始が治療からの撤退や終末期を意味するわけではなく、死が不可避かどうか現時点では判定できない患者や家族に提供されるべきものである。

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