循環器用語ハンドブック
左室部分切除術、左室容積縮小術(=Batista手術、Dor手術)〈partial left ventriculectomy;PLV、 endo-ventricular circular patch plasty;EVCPP(EVPP)〉
Batista手術は、volume reduction ventriculoplasty(左室縮小形成術)またはpartial left ventriculectomy(PLV、左室部分切除術)ともいわれるが、一般に、考案者のRandas Batistaの名を取ってそう呼ばれている。

心筋収縮力の低下は心拡大自体によると考え、拡大した左室の一部を切除し左室を縮小することを目的とした。著しく左室内腔が拡大し、内科的治療に抵抗性の高い重症心不全を対象として行われている。1997年Batistaらの報告では、施行した120例において、術前左室駆出率は20%未満で、95%がNYHA分類Ⅳ度であったが、術後平均9ヵ月にて生存者の95%がNYHA分類Ⅰ~Ⅱ度に改善した。一方Dor手術は、正式にはendo-ventricular circular patch plasty(EVCPPまたはEVPP)と呼ばれ、左室を切開して心内膜の瘢痕化した部分と健常部分の間を巾着状に絞り、残存する開口部をpatchで閉鎖して左室壁を縫合するというもので、心筋梗塞の終末像である虚血性心筋症(ischemic cardiomyopathy;ICM)に対して行われる。Vincent Dorにより1987年に考案され、現在までに700例以上の症例に良好な成績を収めている。近年、Dorはこの手術をICMに適応し、1997年の報告では49例中手術死亡は5例で、左室駆出率が平均23±6%から38±11%に改善したとされる。Dor手術がICMに適応されたのは近年のことだが、この手術自体は以前より行われており評価も比較的確立している。しかしBatista手術については、その有効性はまだ確立していない。

