循環器用語ハンドブック

destination therapy〈DT〉

destination therapy(DT)とは心臓移植を前提とせずLVAD装着そのものが"目的地(destination)"となる治療法である。対象となるのは心不全ステージDの重症心不全患者で、年齢や肥満、臓器障害などにより心臓移植の適応とならない症例である。
心不全ステージDの重症心不全患者に対する薬物療法の効果は限定的であり、LVAD装着により生命予後を改善することが知られている。また、予後の改善のみならず、自宅退院し社会生活を送ることができるようになり、生活の質も改善する。

LVAD装着は心臓移植までの待機期間の血行動態安定を目的としたbridge to transplantation(BTT)や、急激な血行動態の破綻や臓器障害などのため心臓移植の適応があるか判定困難な症例に対してLVADを装着し、状態が安定した後に心臓移植適応を判定することを目的としたbridge to candidacy(BTC)がある。本邦では2020年4月まではBTTとしてのLVAD装着のみが保険承認されていたが、同月よりDTとしてHeartMate 3(Abbott社、米国イリノイ州)の装着が保険承認された。なお、保険承認上のDTにはBTCも含まれている。

心臓移植の要件を満たす必要があるBTTと比較してDTではその条件は緩やかであるが、肝硬変、慢性透析、高用量ステロイド使用、予後5年以内の併存疾患やLVAD装着後に術後右心不全のため退院困難が予想される症例は適応外となる。対象に高齢者が含まれることから65歳以上では自己管理能力・認知機能の評価も必須となっている。また、DTは緩和医療の側面もあり、アドバンス・ケア・プランニングを開始し、事前指示書の作成を行うことが必要である。

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