循環器用語ハンドブック
人工心臓〈artificial heart〉
人工心臓は、心臓移植待機患者に対する慢性的ドナー不足のため、これまで心臓移植までのつなぎとして使用〔BTT(bridge to transplantation)〕されてきたが、世界的には移植の代替手段としての永久使用〔DT(destination therapy)〕でも用いられている(2014年時点ではDTは本邦未承認)。
また、人工心臓には補助人工心臓(ventricular assist device;VAD)と全置換型人工心臓(total artificial heart;TAH)とがあり、TAHは両心系の機能を有し自己の心室機能を必要としないが、本邦では未承認である。また、人工心臓の種類には、血液ポンプが体外に設置される「体外型」と体内に設置する「植込型」があり、ポンプの種類により、拍動流型と定常流型にも分類される。
拍動型で本邦において現在用いられているのは、体外型の空気圧駆動方式のNipro-VAD(旧TOYOBO型、NCVC型)である。植込型で拍動型のHeartMate®、Novacor®なども過去に使用されたが、小型化が困難なために現在は定常流型のEVAHEART®、DuraHeart®、HeartMateⅡ®、HeartWare HVAD®、Jarvik 2000®などの小型化された植込型VADが主流となっている。血栓に由来する脳血管障害と血液ポンプと制御コントローラとを結ぶドライブラインに関連した感染が主なVADの合併症であり、HeartMateⅡ®の2年生存率はおよそ70~80%である。また、近年、バッテリーやコントローラなどの血液ポンプ以外の部分も体内に植込んで、体外からエネルギーを送る技術が研究されており、今後、完全植込型VADの普及が期待される。

