循環器用語ハンドブック

CRT〈cardiac resynchronization therapy、両心室同期ペーシング療法〉

慢性心不全患者では、しばしばQRS幅の拡大を認め、心室内伝導障害が存在する。この心室内伝導障害に伴う心室同期不全の存在は、予後規定因子であるばかりでなく、心血行動態に対して不利に働くことが最近明らかにされ、これを是正する方法として、複数箇所から心室を同期ペーシングし、収縮の同期性を高めることを目的として、CRTが考案された。

CRTペースメーカは、従来型のDDDペースメーカを改良したもので、心房リードと右室リードと左室リードの2本の心室リードからなり、左室へは、心室リードを冠静脈洞から経静脈的に冠静脈分枝に挿入し、心外膜からペーシングする。虚血性、非虚血性を問わず従来の薬物治療によってもNYHA分類Ⅲ度またはⅣ度から改善しない重症心不全患者で、QRS幅が130msec以上の心室内伝導障害を有し、左室駆出率35%以下、左室拡張末期径55mm以上の症例が対象となっている。

実際、CRTにより、自覚症状、血行動態、運動耐容能、心エコー所見など有意な改善が認められたことが多数報告されている。453例の重症心不全症例に対してCRT施行群と非施行群に分けたMIRACLE試験において、CRT群のほうが、有意に6分間歩行距離の延長、NYHA分類の改善、心血管事故の減少が報告され、米国では心不全治療として認可された。わが国においても、2004年4月に保険適応となっている。

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