循環器用語ハンドブック
生体吸収性スキャフォールド〈bioreabsorbable vascular scaffold;BVS〉
生体吸収性スキャフォールド(BVS)とは、以前生体吸収性ステントと呼称されていたデバイスのことであるが、従来の金属ステントとは異なる生体吸収性の材質のためステントではなく、現在はスキャフォールドと呼称されている。素材としては、tyrosine polycarbonateやマグネシウム合金製のものが実用化されている。
現在のところ、最も開発が進んでいるのは、ポリ乳酸で作られたAbsorb(Abbott Vascular社)である。このBVSには、エベロリムスを搭載した生体吸収性ポリマーが塗布されており、留置2~3年後に概ね消失することが確認されている。このBVSは、従来の金属製プラットフォームを有する薬剤溶出性ステント(drug eluting stent;DES)に比べて、遠隔期の血管内腔損失が生じにくいとされている。第1世代BVSを用いたABSORB試験における4年目までのフォローアップ成績では、重篤な心血管イベントの発生は3.4%と良好な成績であった。また、第2世代BVSにおける1年目の遠隔期の血管内腔損失も約0.3mm程度とDESと遜色ない成績であった。冠動脈病変による虚血性心疾患患者501人を対象にエベロリムス溶出BVSとエベロリムス溶出金属ステントを比較したABSORBⅡ試験の副次評価項目の1年追跡結果が報告され、死亡・心筋梗塞・冠動脈血行再建術の複合発生率はAbsorb群とDES群で同程度(5%vs3%、p=0.35)であった。海外では、その対象とする病変も徐々に拡大され、より複雑な病変・病態に対して使用される方向にあり、多くの大規模試験のエビデンスが蓄積されつつある。現在進行中の本邦での臨床治験の結果次第であるが、近い将来は本邦にても臨床応用される可能性が高く、期待される新しいデバイスである。

