循環器用語ハンドブック
血栓溶解療法〈thrombolytic therapy〉
急性心筋梗塞は冠動脈内にあるプラークの破綻によって生じる血栓性閉塞が主な原因であることから、血栓溶解薬を投与することにより冠動脈閉塞部位の再疎通が得られるのではないかとの発想からこの治療法が生まれた。血栓溶解療法には、血栓溶解薬を冠動脈内に投与する方法と静脈内に点滴投与する方法とがある。また、血栓溶解薬にはウロキナーゼと組織プラスミノーゲン・アクチベータ(t-PA)とがあり、最近では、1~2分間で静脈内にボーラス投与ができるパミテプラーゼ、モンテプラーゼなどの第2世代に分類される改変型(ミュタント)t-PAが発売されている。
血栓溶解療法の適応は、心筋梗塞の発症から12時間以内(できれば6時間以内)で、12誘導心電図上2誘導以上でST上昇が残存していることである。一般的な使用量は、冠注法ではウロキナーゼ24万~96万単位、t-PAは各製剤によって投与量が異なる。再疎通率はウロキナーゼ投与時で75%程度、t-PA投与時で85%程度である。静注法ではウロキナーゼ96万~200万単位、t-PAはおよそ2,400万単位を使用する。再疎通率は、冠動脈造影を行わないので推測になるがウロキナーゼ使用時で50%程度、t-PA使用時で70%程度である。静注法は、冠注法よりも簡便で早期に再灌流療法が行えるという利点があり、t-PAを使用することにより静脈法でも高い再疎通率を得られるようになった。しかし静注法では、再灌流の成否が推測によることや多量の血栓溶解薬を使用することにより、出血性合併症の発生率が高いという欠点がある。特に、解離性大動脈瘤を急性心筋梗塞と誤診して血栓溶解薬を投与することは、絶対に避けなければならない。表に血栓溶解療法の禁忌を示す。

