循環器用語ハンドブック
抗血小板療法〈antiplatelet therapy〉
血小板は障害血管壁に接触すると活性化され、アデノシン二リン酸(ADP)やエピネフリン、セロトニンなどを放出する。また、膜リン脂質であるアラキドン酸がシクロオキシゲナーゼで代謝されプロスタグランジンG2(PGG2)、プロスタグランジンH2(PGH2)、トロンボキサンA2(TXA2)などが生成・遊離される。これらは強力な血小板凝集物質であり、周囲の血小板を活性化し、血管壁への粘着、血小板同士の凝集を進行させる。一方、血小板は細胞増殖因子(PDGFなど)を放出し、血管平滑筋細胞を遊走・増殖させて動脈硬化を促進する。
抗血小板薬は、これらのカスケードを阻害することにより、血栓形成・動脈硬化による種々の疾患の予防・治療に用いられる(表)。
アスピリンは、血小板シクロオキシゲナーゼを阻害し、血小板凝集作用をもつTXA2 生成を抑制する。高濃度では血管内皮シクロオキシゲナーゼも阻害し、血小板凝集抑制作用のあるプロスタサイクリン(PGI2)の内皮細胞における形成を抑制してしまう(アスピリンジレンマ)。このため少量投与法(アスピリン81~162mg)が用いられることが多い。
サイクリックAMP(cAMP)やcGMPなどの環状ヌクレオチドは血小板凝集に抑制的に働く。これらの分解酵素であるPDE(ホスホジエステラーゼ)の特異的な阻害剤であるシロスタゾールも、血小板の細胞内濃度を上昇させることで抗血小板薬として働く。チクロピジンは、アデニル酸シクラーゼ活性を上昇させ、血小板内のcAMP濃度を上昇させて血小板凝集を阻害すると考えられている。主な副作用として好中球減少症がある。

