循環器用語ハンドブック
α遮断薬〈α-blocker〉
生体に存在する交感神経受容体には α1、α2、β1、β2の4つのサブタイプがある。心臓には β1受容体が広く分布し、血管にはα受容体とβ2受容体が多く分布する。α受容体は、心筋および血管平滑筋においてα1、α2受容体ともに収縮に作用する。α1受容体は血管平滑筋のシナプス後部に局在し、α2受容体はシナプス前部にあって神経伝達物質ノルアドレナリンの遊離を抑制調節する。α1受容体の遮断薬は、血管拡張作用により降圧効果を現す。β遮断薬は糖尿病の増悪や脂質代謝異常を引き起こすが、α遮断薬ではそのような影響がない。また α遮断薬はインスリン感受性を改善させる。HDLコレステロールレベルを上昇させるが、血中全コレステロールおよびLDLコレステロール、中性脂肪を減少させる。また心拍数、心拍出量、腎血流量などに影響を与えないなどの利点がある。注意点としては起立性低血圧によるめまい、動悸などが現れることがあるので、少量から内服開始することが望ましい。
α遮断薬は血管拡張作用があることから、慢性心不全に対して使用されることがある。プラゾシン、ドキサゾシン、ブナゾシン、テラゾシンなどが使用されるが、長期の有効性は疑問視されている。軽症から中等症の慢性心不全患者を対象とし、プラセボ、プラゾシン、硝酸薬とヒドララジン併用の3群間で比較したV-HeFT Ⅰ(Vasodilator Heart Failure Trial Ⅰ、1986年発表)試験では、プラセボ群とプラゾシン群の間で3年間の累積死亡率に有意差は認められなかった。

