循環器用語ハンドブック

エンドセリン受容体拮抗薬〈endothelin antagonist〉

強力な血管収縮物質であるエンドセリン(ET)は3種類のアイソフォーム(ET-1、ET-2、ET-3)からなる。受容体は各アイソフォームに対する親和性の違いからETA受容体、ETB受容体の2種類の受容体サブタイプに分けられる。ETA受容体は血管平滑筋上に存在して収縮作用に関与し、ETB受容体は血管内皮細胞に存在して内皮由来血管弛緩因子NOの遊離に関与する。循環器系で主に作用しているのはET-1である。肺は生体内においてET-1を最も多く含有する臓器でもあり、肺高血圧においてET-1は肺循環に積極的に関与している可能性が高く、エンドセリン系の阻害が有効と考えられる。

肺高血圧に対してET受容体拮抗薬(ETA/B受容体拮抗薬)であるボセンタンを用いたBREATHE-1(Bosentan Randomized Trial of Endothelin Antagonist Therapy-1)試験ではボセンタン投与群ではプラセボ群に比し6分間歩行距離が有意に改善し、一部の患者では肺動脈圧、肺血管抵抗、肺毛細管圧、右房圧は有意に低値となった。現在、ボセンタンはWHO機能分類クラスⅢおよびⅣの肺血管性肺高血圧症に対しての適応があり、臨床応用が行われている状況である。用量としてはボセンタンとして1日62.5mg×2回投与から開始し、5週目より125mg×2回投与に増量することとなっている。

また、慢性心不全に対してはET受容体拮抗薬であるボセンタンを用いた大規模臨床試験ENABLE(Endothelin Antagonist Bosentan for Lowering Cardiac Events in Heart Failure)が施行されたが、予後改善効果は得られなかった。

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