循環器用語ハンドブック
SGLT2阻害薬
SGLT2は腎臓の近位尿細管に主に発現し、糸球体でろ過されたグルコースの再吸収を担っているが、SGLT2阻害薬はこの再吸収を阻害し、尿糖として排出する2型糖尿病治療薬として開発された。
しかし、EMPA-REG OUTCOME試験では、心血管疾患(CV)既往患者にエンパグリフロジンを投与すると、プラセボ群と比較してCV発症を14%減少させ、またCV死や心不全入院を30%以上減少させた。続くCANVAS試験でもカナグリフロジンの投与により、CVの有意な発症低下や心不全入院を30%以上減少させ、またDECLARE-TIMI 58試験では、動脈硬化性疾患をもつ患者にダパグリフロジンを投与すると、プラセボ群と比較して、CV発症は有意に減少させなかったが、CV死亡や心不全入院を有意に減少させた。次に、DAPA-HF試験では、収縮機能が低下した心不全(HFrEF)患者へのダパグリフロジンの投与により、糖尿病の有無にかかわらずプラセボ群と比較してCV死亡と心不全入院を有意に減少させ、またEMPEROR-Reduced試験でも、心不全患者にエンパグリフロジンを投与すると、糖尿病の有無にかかわらず、心不全入院や心血管死亡を減少させたことから、SGLT2阻害薬のCV死亡や心不全入院減少の効果は、血糖低下とは無関係であることが示された。
HFrEF患者のみならず、EMPEROR-Preserved試験では、収縮機能が保たれた心不全(HFpEF)患者へのエンパグリフロジン投与により糖尿病の有無にかかわらず、心不全入院やCV死亡を減少させた。また、DELIVER試験においても、HFpEF患者にダパグリフロジンを投与したところ、同様の結果が得られたことから、心機能の違いや糖尿病の有無にかかわらず、SGLT2阻害薬投与により、心不全入院やCV死亡を減少させるクラス効果があると考えられている。さらに、慢性心不全のみならず、EMPULSE 第Ⅲ相試験では急性心不全患者へのエンパグリフロジンの投与により、非投与群と比較して、全死亡や心不全発症などを抑制することが報告された。
SGLT2阻害薬の心不全発症抑制は投与後2~3週と効果発現が早く、ケトン体増加によるエネルギー効率の上昇、血圧や体重減少による心筋負荷軽減に加え、腎保護作用を介した心腎連関などの関与が指摘されている。

