循環器用語ハンドブック

アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬〈angiotensin Ⅱ receptor blocker;ARB〉

アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体はAT1受容体とAT2受容体からなる。アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)はAT1受容体を拮抗阻害することによってAⅡの作用を阻害し、アルドステロン産生を抑制、降圧効果をもたらす(図)。生体におけるAⅡ産生経路には、ACE(アンジオテンシン変換酵素)を介する経路以外に、酵素キマーゼを介した産生経路が存在する。

アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬

そのためにACE阻害薬のみではAⅡ産生を十分に抑制しえず、AⅡ作用抑制効果はARBが勝るとされている。また、ACE阻害薬に比して乾性咳嗽などの副作用が少ない点も特徴である。また、降圧効果だけでなく、ACE阻害薬と同様に心不全に対する有効性も報告されている。

高血圧患者に対するバルサルタンとアムロジピンの効果を比較検討したVALUE(Valsartan Antihypertensive Long-term Use Evaluation)試験では降圧効果についてはアムロジピンが有意に優れていたが、死亡率、心血管イベントの発生率には有意差はなかった。慢性心不全に対するARBの効果を比較したVal-HeFT(Valsartan Heart Failure Trial)試験ではバルサルタン投与群とプラセボ投与群で総死亡率に差はなかったが、心不全入院率はバルサルタン投与群において有意に低率であった。また、CHARM(Candesartan in Heart Failure:Assessment of Reduction in Mortality and Morbidity)試験では、ACE阻害薬に追加するadded 試験およびACE阻害薬非認容例に対する alternative試験ともに、カンデサルタン投与群ではプラセボ群に比し、死亡率および心不全入院率が有意に低値であり、ARBの有用性が示された。2006年6月現在、わが国では降圧薬としてロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、オルメサルタンが商品化されているが、心不全の保険適応を取得しているのはカンデサルタンのみであり、その適応もACE阻害薬非認容例のみとなっている。

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