循環器用語ハンドブック

ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬〈angiotensin converting enzyme inhibitor〉

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ACE(アンジオテンシン変換酵素)を阻害し、生理的血管収縮物質であるアンジオテンシンⅡ(AⅡ)の産生を抑制する。末梢血管抵抗の低下、さらにアルドステロンの産生抑制により、水、Naの排出を促進し、降圧作用をもたらす。日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2004(JSH2004)においては、Ca拮抗薬、AⅡ受容体拮抗薬、利尿薬、β遮断薬、α遮断薬と並び、主要降圧薬とされており、なかでも脳血管疾患後、糖尿病、高齢、心筋梗塞後、心不全、左室肥大、腎障害の患者に対しては積極的な適応とされる。妊娠、高カリウム血症、両側腎動脈狭窄を有する症例においては禁忌である。

心不全ではレニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA)系の活性亢進がみられる。RAA系はAⅡを介して血管平滑筋の収縮や中枢・末梢交感神経系への刺激作用、腎臓における水・Na排泄抑制など、血圧上昇や体液・Na貯留へと作動する。ACE阻害薬はAⅡの産生を抑制し、前負荷・後負荷の軽減および交感神経活性を低下させ慢性心不全を改善する。ACE阻害薬は心筋梗塞における心室リモデリングに作用し、心筋梗塞後の予後を改善する。また、血中レニン活性が低値のものでもACE阻害薬は降圧効果をもたらすが、これはACE阻害薬によりキニナーゼが抑制され、プロスタグランジンや一酸化窒素が産生されることによる。

近年、慢性心不全患者の生命予後の改善、急性心筋梗塞後の心機能保持にACE阻害薬が有効であることがCONSENSUS(Cooperative North Scan-dinavian Enalapril Survival Study、1987年発表)、Ⅴ-HeFTⅡ(Vasodilator-Heart Failure TrialⅡ、1991年発表)、SOLVD(Study Of Left Ventricular Dysfunction、1991年発表)、SAVE(Survival And Ventricular Enlargement study、1992年発表)、AIRE(Acute Infarction Ramipril Efficacy study、1993年発表)、TRACE(Trandolapril Cardiac Evaluation、1995年発表)などの大規模臨床試験によって証明された。重症心不全患者を対象にしたCONSENSUSではエナラプリルとプラセボを比較し、6ヵ月後の死亡率はエナラプリル群26%、プラセボ群44%と有意差を認めた。さらに心筋梗塞後の患者にACE阻害薬を投与したGISSI-Ⅲ(Gruppo Italiano per lo Studio della Streptochinasi nell'Infarto miocardico-Ⅲ、1994年発表)、ISIS-4(Four-th International Study of Infarct Survival、1995年発表)では心機能にかかわらず急性期および慢性期の死亡率、心血管事故の発症率が有意に減少した。これら大規模介入試験はエンドポイントを心不全患者の死亡としているが、同時にいくつかのサブスタディーが行われ、QOLの改善が報告されている。

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