中等度以上の大動脈弁閉鎖不全ではほとんどの例で、拡張期心尖部に僧帽弁狭窄と類似した持続の長い心室充満雑音、およびそれに続く心房収縮雑音を認める。この低調な拡張期雑音がAustin Flint雑音である。Austin Flint雑音は大動脈から左室への逆流血液が、僧帽弁前尖に当たり早期に僧帽弁が閉鎖するために生じると考えられる。僧帽弁狭窄症における心尖部拡張期ランブルとの鑑別には、亜硝酸アミル吸入負荷が用いられる。亜硝酸アミル0.25mLを含むアンプルを割り15~20秒間に3~4回吸入させると、約15~30秒後より体血管は拡張、体動脈圧は下降、心拍数は増加し、また頻拍により心拍出量は増加する。僧帽弁狭窄症における雑音は房室流入血流の速度が増大する結果大きくなるが、一方大動脈弁閉鎖不全に伴うAustin Flint雑音は大動脈圧が低下して逆流が減少することにより減弱する。