新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連心血管疾患

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2019年12月に中華人民共和国の湖北省武漢市で最初に確認された。世界保健機関(WHO)は2020年3月11日にCOVID-19がパンデミック状態にあると宣言した。原因ウイルスとして同定されたSARS-CoV-2は主に飛沫・エアロゾルによって伝播し、まずは上気道に感染し、増殖すると考えられる。多くの患者は発症から1週間程度で治癒に向かうが、一部の患者では重症化し、肺炎、急性呼吸窮迫症候群を呈する。重症化に関連する心血管系の基礎疾患として、心不全、虚血性心疾患、心筋症、脳血管疾患、高血圧症が報告されている。

SARS-CoV-2の主要なウイルス侵入受容体はアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体であり、COVID-19ではACE2を発現する呼吸器系以外の臓器にも多彩な病態、病理組織学的変化をきたすことが示されている。心血管系合併症として、急性期の心筋障害、不整脈、血栓塞栓症(肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症、脳梗塞、心筋梗塞、下肢動脈血栓塞栓症)、心筋炎、ショック、心停止が報告されている。また、COVID-19入院患者において入院時の心筋トロポニン値上昇とDダイマー値上昇が死亡率と有意に関連することが明らかとなっている。

COVID-19患者における剖検例の検討では、剖検例におけるウイルス性心筋炎の頻度は2~5%程度とされているが、正確な頻度は不明である。また、剖検例の心臓においてSARS-CoV-2が検出されたとする報告があり、SARS-CoV-2が心臓に感染することが示唆されているが、心筋障害の機序に関してはウイルスによる直接障害や免疫過剰応答・低酸素による間接障害などいまだ確立されていない。COVID-19回復期に施行した心臓MRI検査で60%に持続的な炎症を示唆する所見を認めており、post COVID-19 conditionと称される後遺症との関連など感染後の長期的な影響も注視していく必要がある。

COVID-19ワクチンの感染・重症化予防に対する有効性は明らかだが、mRNAワクチン接種後に心筋炎・心膜炎をきたした症例が若年男性に多く報告されており、今後の機序解明が期待される。