褐色細胞腫〈pheochromocytoma〉

副腎髄質や副腎外の傍神経節に存在するクロム親和性細胞が腫瘍化したもので、カテコラミンをはじめ各種の生理活性物質を生成分泌する。腫瘍の90%以上は後腹膜に生じ、85%は左右いずれかの副腎に原発する。多くは単発性であるが、両側副腎例も約10%に認められる。副腎外例は腹部大動脈周辺部に多い。症状は高血圧が特徴的で、それ以外では頭痛、動悸、発汗、体重減少などの頻度が高い。

間欠的に高血圧・症状が出現する発作型と、持続的に出現する持続型およびその中間型、あるいは無症状型とに大別される。

尿中メタネフリン、バニルマンデル酸、カテコラミン、血中カテコラミンの異常高値が特徴的であり、これらが正常範囲内であれば、本症は否定的である。上記カテコラミン類が正常上限の場合には、薬物負荷試験を行う。また持続型の場合にはフェントラミン試験を、発作型の場合にはメトクロプラミド試験、グルカゴン試験を行う。

腫瘍部位を検索するには胸腹部X線、CT、MRI、超音波、およびMIBGシンチグラフィが有用である。これらの各種検査でも腫瘍局在が不明な場合は、血管造影や大静脈血液サンプリングが行われる。

本症の治療は腫瘍の外科的切除が第1であるが、手術不能例あるいは術前の血圧管理に薬物療法が行われる。薬物療法ではα遮断薬を使用し、頻脈を伴う場合にはβ遮断薬やαβ遮断薬を併用する。各薬剤は少量から投与開始し、血圧心拍数をモニターしながら用量を調節する。Ca拮抗薬やACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬を補助的に併用してもよい。高血圧脳症や急性心不全などの緊急症を呈するときは、上記経口薬のほかα遮断薬、β遮断薬の持続静注で迅速に降圧を行う。

また本症では、甲状腺髄様癌の合併を認めることがあり、multiple endocrine neoplasia(MEN)Ⅱ型と分類される。甲状腺髄様癌が分泌するカルシトニンを測定し、合併の有無を調べる必要がある。

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