心臓の拍動のメカニズム

● 拍動と刺激伝導系

心臓の筋肉は収縮と弛緩を定期的に繰り返すことで、血液を全身に送り出しています。これを拍動といい、安静時には60~100回/分が正常とされています。右心房には電気信号を作り出して心臓の動きをコントロールする洞結節があり、ここで発生した電気信号は「刺激伝導系*1」と呼ばれる経路を伝わり心筋細胞に到達します。心筋細胞は電気信号が来ると収縮し、それが過ぎ去ると拡張します(→図1)。この一連の流れが1回の拍動になります。

図1 刺激伝導系と心筋の収縮

図1 刺激伝導系と心筋の収縮

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*1:刺激伝導系

洞結節、房室結節、His(ヒス)束、右脚と左脚、Purkinje(プルキンエ)線維により構成される。100年以上前に、我が国の田原淳(たはらすなお)博士によってその全容が明らかにされた。

● 収縮と拡張のメカニズム(心筋イオンチャネル)

心筋細胞の細胞膜にはイオンを汲み出すポンプやイオンの通り道であるイオンチャネルがあります。これらの働きによって細胞の内と外でナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、カルシウムイオン(Ca2+)の濃度が異なり、細胞の中はマイナスに帯電しています。このときの電位の差を静止膜電位といい、通常-90mVです。細胞の内外に電位差が生じていることからこの状態を分極といいます。

図2 心筋細胞(心室筋)の興奮:脱分極と再分極

図2 心筋細胞(心室筋)の興奮:脱分極と再分極

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細胞は盛んにイオンポンプ*2を稼働させて細胞内をマイナスに帯電させています。そこにNaチャネル*2が開口し、Naが流入することで細胞内の電位はプラスに移行します(これが興奮の始まり、脱分極です)。Ca2+チャネルは細胞の電位変化を感知し、チャネルを開口させCa2+を細胞内に流入させ、活動電位を長く保ちます。その後はKチャネルが開口し、細胞内のKが細胞外へ流出することで細胞内の電位は再びマイナスとなります(再分極)。

分極、脱分極、再分極の違いを理解しましょう。

*2:チャネルとポンプ

チャネルはイオンの濃度勾配に従って、高い方から低い方に流れる。ポンプは濃度勾配に逆らって移動させるので、エネルギー(ATP)を必要とする。

心筋細胞が刺激を受けると、陽イオンが流入して、細胞の中はプラス側にシフトします。これを分極の状態が解消するので、脱分極といいます。その後、陽イオンが細胞外に流出し、細胞が再度マイナスの状態に戻ります。これが再分極です。心筋細胞は、脱分極-再分極のサイクルによって細胞内の電位を変化させて、収縮と拡張を繰り返します。細胞が脱分極して再分極するまでの電位変化を活動電位といいます。この活動電位は、図2に示すように第0相から第4相までの5段階に分かれます(5段階のメカニズムについては、▶ もっと詳しく!不整脈Q&A【会員限定】・Q1参照)。

図1 刺激伝導系と心筋の収縮

図1 刺激伝導系と心筋の収縮

図2 心筋細胞(心室筋)の興奮:脱分極と再分

図2 心筋細胞(心室筋)の興奮:脱分極と再分

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