循環器用語ハンドブック
経皮的左心耳閉鎖術〈WATCHMAN™〉
脳梗塞のうち約30%が心原性脳塞栓であり、心原性のなかでは、特に心房細動が原因であることが多い。心房細動により心房内の血液が滞留し、特に左心耳に血栓が形成されやすくなり、心房細動がない患者に比べ、脳梗塞のリスクが5倍上昇することがわかっている。心房細動患者には抗凝固薬の内服にて脳梗塞を予防するが、高齢や出血リスクが高いなどの理由で長期間の抗凝固薬の内服が困難な場合がある。経皮的左心耳閉鎖術 (WATCHMAN™)はそのような患者に、カテーテルにて左心耳を閉鎖し、脳梗塞を予防する手術である。
日本循環器学会のガイドラインでは心房細動を有し、長期間、抗凝固薬の服用が必要な脳梗塞を発症する可能性が高い患者のなかで、以下のうち1つ以上を含むリスクが高い患者が適応基準となる。
・HAS-BLEDスコア(出血リスクを表すスコア)が 3以上の患者
・転倒に伴う外傷に対して治療を必要とした既往が複数回ある患者
・びまん性脳アミロイド血管症の既往のある患者
・抗血小板薬の2剤以上の併用が長期(1年以上)にわたって必要な患者
・出血学術研究協議会(BARC)のタイプ3に該当する大出血の既往を有する患者
カテーテルによる治療は外科手術よりも侵襲度が低いことより、外科手術を受けることができない高齢の患者でも、この治療を受けることができる。留置されたWATCHMANは時間とともに組織の膜で覆われていき、手術から45日後で約90%、1年後に99%の方が抗凝固薬の服用を中止することができ、脳梗塞のリスクを下げながらも、出血のリスクも下げることができる。

