循環器用語ハンドブック

マルベリー小体

マルベリー小体とはFabry病患者の尿沈渣検査で検出される、渦巻き状の構造物のことである。Fabry病で特異的にみられること、簡便に調べられること、Fabry病には酵素補充療法などの特異的治療があり、早期診断・早期治療が臓器障害予防に有効であることから、原因不明の左室肥大・心機能障害の診察時には、スクリーニング検査として「マルベリー小体の有無を確認するための尿沈渣検査」の実施が有用と報告されている。

Fabry病患者の尿沈渣を光学顕微鏡で観察すると、2~10μmほどの脂肪球が集簇した桑の実(マルベリー)のような構造物がみられることがあり、マルベリー小体と呼ばれる。マルベリー小体が取り込まれた上皮細胞がみられることもあり、これはマルベリー細胞と呼ばれる。電子顕微鏡や免疫染色での観察から、マルベリー小体は腎糸球体足細胞のライソソームに蓄積したグロボトリアオシルセラミドなどのスフィンゴ糖脂質が細胞から排泄されたものであると考えられている。マルベリー小体の排泄量は腎機能障害の重症度依存的に増加する、酵素補充療法の治療期間に応じて減少するなど、重症度・治療効果の指標になるとの報告がある。排泄量の評価は4段階程度(なし/少量/中等量/多量)で、少量の場合には検出されないことがあるなど感度はあまり高くないが、特異度は高いため、腎機能障害が顕在化していない症例で検出されて、古典型だけでなく心亜型Fabry病の診断にもつながったとする報告が複数あり、マルベリー小体検出の診断的意義は大きい。

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