循環器用語ハンドブック

PDGF〈platelet-derived growth factor;血小板由来増殖(成長)因子〉

PDGF(血小板由来増殖因子)は、血小板中に存在する間葉系細胞に対する増殖・遊走因子として1979年に精製された。PDGFはジスルフィド結合したA鎖とB鎖の2種類のポリペプチドからなるホモダイマー(PDGF-AAまたはPDGF-BB)あるいはヘテロダイマー(PDGF-AB)によって構成され、両鎖のアミノ酸配列に約56%の相同性が認められる。また、両鎖の8個のシステイン残基の位置は一致しており、この残基の位置はVEGF(vascular endothelial growth factor、血管内皮増殖因子)とも完全に一致する(図)。PDGFはその受容体を有する種々の間質系細胞やグリア細胞に作用し、それらの細胞の増殖・分化を調節している。PDGFは線維芽細胞や血管平滑筋細胞の増殖を促進するが、一般には血管内皮細胞や上皮細胞の増殖は促進しない。しかし、毛細血管由来の内皮細胞ではPDGF受容体の存在が明らかにされ、その細胞増殖を促進することが知られている。また、平滑筋細胞、線維芽細胞あるいは好中球などに作用し、それらの細胞の遊走能を促進することも知られている。

PDGFの構造と生合成の様式

初期動脈硬化巣において、内膜の傷害部に集まる血小板やマクロファージから分泌されたPDGFが、中膜の血管平滑筋細胞を内膜側に遊走させ、増殖させると考えられており、実際、動脈硬化巣においてPDGFの発現亢進が認められている。このことから内膜傷害に起因する動脈硬化の発症過程において、PDGFは重要な働きを担っているものと考えられ、動物実験モデルにおいても、バルーンカテーテルによる内膜傷害後の内膜肥厚が、PDGF抗体の投与により抑制されたという報告もある。

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