1.薬物吸収について

1 経口製剤と経皮吸収型製剤との違い

経口摂取された薬物は、消化管から吸収され、全身に循環する前に肝臓を通過します。その際、肝臓の代謝酵素により薬物は代謝されます(初回通過効果)。

経皮吸収型製剤は皮膚に貼付すると、薬物成分が表皮や毛のう、汗管および汗腺、細胞の隙間を通過していきます。そして、毛細血管に吸収され、全身を循環しながら主に標的患部に作用することで、効果を発現します(肝臓での初回通過効果を受けません)。


ビソノテープの経皮吸収経路の模式図

2 経皮吸収型製剤のメリット・デメリット

■ メリット

  • ○ 薬物成分は皮膚からゆっくり吸収されて持続的に効果を発揮する。
  • ○ 薬物のバイオアベイラビリティ(生物学的利用率)が高められる。
  • ○ 安定的な有効血中濃度領域を長時間維持できる。
  • ○ 効果の変動が起きにくく副作用の軽減が期待できる。
  • ○ 注射剤のような専門的手技を必要としないので使用が簡便。
  • ○ 目で見て服薬を確認できる。

■ デメリット

  • ● 人によって皮膚のかぶれなどの皮膚症状を発症することがある。
  • ● 剥がし忘れることがある。

塩原 哲夫、大谷 道輝 監修. 臨床に役立つ経皮吸収型製剤を使いこなすためのQ&A.(アルタ出版, 東京),(2012)

「禁忌を含む使用上の注意」等につきましては、製品情報ページより添付文書等をご参照ください。