要介護の前段階としてのフレイルと認知症はもっとも注目されるべき疾患であると思います。フレイル、認知症は、心血管イベントのハイリスク群でもあることが分かっています。ただ、ハイリスク群であるからといって厳格な介入を行うべきか対応の難しさがあります。有害事象のリスクを評価した上で、介入を行うべきか行わないかを考えなければなりません。
循環器疾患として注目すべきはやはり心房細動と心不全です。特に心不全は入院して治療する間に認知機能や筋力が低下し、一度改善しても再発することも多く、これを繰り返しながら徐々に機能が落ちていきます。その都度費やされる急性期医療費、本人や家族の負担も大きく、そこにどう対応するかもきわめて大きな課題であると思います。
高齢者では、安全で適正な薬物療法、ポリファーマシーやアドヒアランスを考慮した服薬指導を考えていただく必要があります。
ポリファーマシーの概念に関して、厚生労働省から「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」で次のように示されています。ポリファーマシーとは、単純な多剤服用ではなくて、多剤服用に加えて何かそこに問題を抱えている状態であるとしています。例えば重複がある、相互作用のリスクが高い薬剤が処方されている、きちんと飲めない、というような状態であり、多剤服用とポリファーマシーを異なる意味で定義しています(図1)1)。
患者さん一人一人の背景をしっかりとらえるという姿勢が重要です。例えば循環器疾患患者では循環器疾患だけに目を向けたのでは十分ではありません。心房細動のレートコントロールでβ遮断薬を用いている患者さんがCOPDでβ刺激薬を内服・吸入していることはないだろうか、β3刺激薬が過活動膀胱治療に用いられているが、これをβ遮断薬と一緒に使うことに問題はないのか、アスピリンとNSAIDsの併用で有害事象を作りやすい状態になってはいないだろうか、多剤からなる治療薬に不整合はないだろうか、といった多疾患に対する処方に目配りをしていただきたいと思います。特に複数の医療機関を受診している場合は注意を払う必要があります。
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