循環器用語ハンドブック

経皮的僧帽弁接合不全修復術〈MitraClip®〉

MitraClip®は、経カテーテル的に僧帽弁閉鎖不全症(MR)を治療する医療機器であり、僧帽弁外科手術のEdge to Edgeの術式をコンセプトに開発が行われた。大腿静脈穿刺、心房中隔穿刺にて、右房から左房、左房から僧帽弁にアプローチを行う。左室から僧帽弁をすくい上げ、クリップにて前尖・後尖を把持することで、弁尖の接合を作りMRの制御を行う。経食道心エコーガイドを主に心拍動下にて手技が行われ、MR制御や僧帽弁狭窄症(MS)回避、血行動態評価をもとに治療のエンドポイントを決めていく。

2010年に行われた、対照としたランダム化比較試験(RCT)であるEVEREST試験では、MR制御においては外科手術が優れていたが、心不全症状のニューヨーク心臓協会(New York Heart Association;NYHA)心機能分類は同等、輸血などの安全性においてはMitraClip®治療において発生率が低い傾向がみられた。2018年には機能性MR患者に対して、薬物療法と薬物療法+MitraClip®のRCTであるCOAPT試験が発表され、有意差をもって、心不全入院を47%抑制、全死亡を38%抑制することが報告された。

日本国内においては、2018年4月から保険償還が行われ、2022年12月時点で、約120施設の認定施設、累積6,000例を超える症例で実施されている。全世界では、2003年の初回症例から150,000例を超える症例数を重ねている。2020年には、添付文書記載改訂が行われ、左室駆出率(LVEF)30%から20%に変更され、より外科手術困難な低左心機能症例にも治療適応が拡大されている。重症機能性僧帽弁閉鎖不全に対するMitraClip®治療は日本循環器学会の「2020年改訂版弁膜症治療のガイドライン」ではクラスⅡb、「2021年JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版急性・慢性心不全診療」ではクラスⅡaの記載がされている治療である。

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