循環器用語ハンドブック
再分布〈redistribution〉
タリウムの画像は、投与10分後の初期像と3~4時間後の後期像とを撮像する。初期像から後期像にかけての分布の変化により、さまざまな心筋の状態を鑑別することができる(表)。
負荷の画像において、初期像で集積低下した領域が後期像で改善することを再分布現象という。このような再分布現象は安静時のタリウム像でもみられる。特に後期像で正常化する場合を完全再分布、正常化しなくても明らかに改善している場合を不完全再分布という。これらはどちらも虚血心筋であるが、梗塞心筋をどれだけ含んでいるかの差によると考えられている。他方、後期像でも全く変化のない領域を再分布なしまたは固定性欠損といい、その大部分は梗塞心筋と考えられる。逆に、後期像でさらに集積低下が進行する場合を逆再分布と呼び、心筋梗塞後再灌流に成功した場合にしばしばみられる。このような再分布現象は虚血心筋を同定でき、さらに心筋生存性(viability)の判定にも役立てられている。ただし、高度の虚血病変においてはこのような方法で再分布が認められないことがあるため、通常の後期像の撮像に加えて少量のタリウムを安静時に追加静注する再静注法や、24時間後の後期像を撮るなどの改良が試みられている。
再分布現象を生じるのは、いったん心筋に摂取されたタリウムが心筋から洗い出される際の洗い出し速度が、虚血心筋では健常心筋や梗塞心筋と比べて遅く、見かけ上分布が改善するためと考えられている。

