循環器用語ハンドブック
BMIPP〈123I-β-methyl-P-iodophenyl-pentadecanoic acid〉
心筋は、エネルギー源として主に脂肪酸とブドウ糖を用いているが、正常心筋は空腹安静時には大部分が脂肪酸代謝に依存し、心筋虚血などではエネルギー代謝が脂肪酸から糖代謝に移行する。最近、123Iを標識した脂肪酸によるシンチグラフィが可能となり、虚血性心疾患や心筋症などの心筋代謝障害を画像として捉えることができるようになった。123Iをフェニル基を介して標識した脂肪酸は、脂肪酸をエネルギー源としている心筋に多く摂取される。心筋虚血や心筋症では脂肪酸代謝が障害されるため脂肪酸の集積が低下し、心筋SPECTにてその障害部位が集積低下像として描出される。現在用いられている脂肪酸製剤は、βの位置にメチル基のついた側鎖脂肪酸の123I-β-methyl-P-iodophenyl-pentadecanoic acid(BMIPP)である。静注されたBMIPPは心筋に摂取された後、一部はミトコンドリア内に入り脂肪酸の代謝経路に取り込まれるが、大半はトリグリセリドプールとして長くとどまるため心筋内に長時間集積し、脂肪酸代謝を反映する画像が得られる(図)。心筋障害を脂肪酸代謝の面からみることができるので、安静時画像のみで障害心筋を検出できる可能性があり、①安静時検査のみで虚血心筋の同定、②stunned myocardiumやhibernating myocardiumの代謝からの評価、③心筋viabilityの評価、④心筋症の早期診断、重症度や予後の判定、⑤各種心筋疾患の障害心筋の早期診断、など臨床的意義があると考えられる。

