循環器用語ハンドブック
Simpson(シンプソン)法〈Simpson's method〉
左室内腔を、左室長軸に垂直で等間隔の多断面のディスクあるいはスライスの総和と考えて計算する方法で、左室をn個のスライスに分割したとすると左室容積Vは次のように計算される。
V=(A1+A2+A3+...+An)h
h=L/n
A:各ディスク面積、h:各ディスク高、L:左室長軸径、n:断面数
この方法は左室の形態による影響が少なく、かつ精度の高い理想的な方法であるが、日常臨床では実際には数断面での計算が多い。ASE(American Society of Echocardiography)の推奨するmodified Simpson法は心尖部2腔および4腔断面の2断面から、左室長軸に対し直角な20ディスクの総和を左室容積とみなす方法で、最近では多くの心エコー図装置にこの計測ソフトがあらかじめ内蔵されており、比較的簡便に測定可能となった。拡張末期と収縮末期の心内膜をトレースすることにより、自動的に拡張末期、収縮末期それぞれの左室容積を求めることができるが、注意すべき点は心内膜が十分に描出されているか否かということである。良好な断面が2腔または4腔いずれか1断面しか得られない場合、左室を楕円体と仮定して1断面のみより左室容積を求めることは可能であるが、精度は2断面より求める場合に比し劣る。また、2断面での計測において2断面の長軸径が5%以上異なる場合は、正しい心尖部断面が描出できていない可能性が高く、正確な測定とはいえない。

