循環器用語ハンドブック
心室遅延電位〈late potential;LP〉
器質的心疾患における死亡原因として突然死・不整脈死は比較的多くの割合を占めるため、致死性不整脈の発生の予知は重要である。これらの疾患においては病的心筋の周辺に伝導遅延が生じ、リエントリー回路を形成することによって致死性不整脈が生じると考えられている。この伝導遅延は正常QRS波形の後に含まれているはずであるが、きわめて微小な電位であるために通常の体表面心電図では検出することができず、複数の心拍信号(通常100~200拍程度)を加算平均することでノイズレベルを軽減させることによって初めて描出が可能となる。この加算平均心電図(signal averaged electrocardiography;SAECG)におけるQRS終末部分にみられる微小電位を心室遅延電位(LP)と呼び、以下のような測定項目が陽性判定に用いられる。①f-QRS(filtered QRS-duration):LPを含んだ全体的な心室活動電位持続時間、②RMS40(root-mean-square voltage of the signals in the last 40ms):QRS終末部から40msec遡った点までの電位面積、③LAS40μV(the duration of the low amplitude signal after the voltage decreased to less than 40μV):QRS後半の波高40μV以下の領域が持続する時間。これまでの研究でLP陽性症例は虚血性心疾患・非虚血性心疾患いずれにおいても有意に心室性不整脈増加と関連すること、原因不明の失神例において心室性不整脈に対する高い陰性予測率(90%以上)を有することなどが報告されており、非侵襲的に致死性不整脈の基質を検索する手段として有用である。

