循環器用語ハンドブック
JNC-Ⅷ
米国の高血圧ガイドラインが米国合同委員会(Joint National Committee;JNC)により10年ぶりに改訂され、第八次報告が2013年12月に発表された。第八次報告では、3つの日常臨床の疑問に焦点があてられた。
①成人高血圧例において、特定の血圧値で降圧治療を開始することで予後が改善するか?
②同患者において、特定の血圧値を目指した薬物治療で予後が改善するか?
③種々の降圧薬や同種薬で予後に対する有益性と危険性が異なるか?
これら日常臨床の疑問に対して、さまざまな臨床試験の結果に基づいて、9つの推奨が提示された。
- 推奨1:60歳以上の一般人において、薬物治療の開始は150/90mmHg以上、降圧目標値は150/90mmHg未満とした(推奨グレードA)。
- 推奨2:60歳未満の一般人において、薬物治療の開始は拡張期血圧90mmHg以上、目標値は90mmHg未満とし、30~59歳では推奨グレードAで特に推奨されるとし、18~29歳では推奨グレードEとした。
- 推奨3:60歳未満の一般人において、薬物治療の開始を収縮期血圧140mmHg以上、目標値は140mmHg未満とした(推奨グレードE)。
- 推奨4:18歳以上の腎機能障害を有する例では、140/90mmHg以上で薬物治療を開始し、その目標値を140/90mmHg未満とした(推奨グレードE)。
- 推奨5:18歳以上の糖尿病を有する例では、推奨4同様に140/90mmHg以上で薬物治療を開始し、その目標値を140/90mmHg未満とした(推奨グレードE)。
- 推奨6:黒人以外の人種に対しては、治療開始時にサイアザイド系利尿薬、Ca拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を用いる(推奨グレードB)。
- 推奨7:黒人に対する治療開始時には、サイアザイド系利尿薬、Ca拮抗薬を用いる(推奨グレードC)。
- 推奨8:18歳以上の腎機能障害を有する例では、腎予後改善を目指し、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を用いるか、追加する(推奨グレードB)。
- 推奨9:もし、薬物治療開始から1ヵ月で目標値を達成できない場合には、薬剤の増量を行うか、推奨6の薬剤を1剤追加する。
本報告では、種々の臨床試験の結果を踏まえ、これらの推奨は血圧高値例に対する多くの症例において当てはまるが、治療方針の決定は個々の症例の臨床背景を考慮に入れて、注意深く決定されるべきとされた。

