循環器用語ハンドブック
メタボリックシンドローム〈metabolic syndrome;Mets〉
長く動脈硬化性疾患に対しては高コレステロール血症に対しての治療、予防対策がなされてきたが、1980年代にReavenらが高血圧、中性脂肪リッチなリポ蛋白質の増加、HDLコレステロールの低下、高血圧を合併する病態をシンドロームXと呼び、1つの病態として捉えようとした。また、松澤らは内臓脂肪の蓄積がマルチプルリスクファクター合併と関連することを見出し、内臓脂肪型肥満の概念を提唱した。最終的には循環器のシンドロームXと区別し、メタボリックシンドローム(Mets)と呼ぶようになった。日本では2005年に内科系8学会によってMetsの診断基準が検討され、内臓脂肪蓄積に加え、脂質、血圧、血糖のうち2項目以上の異常を認めた場合にMetsと診断することになった(表)。わが国の疫学研究ではMetsは動脈硬化性疾患のリスクを1.3~2.2倍上昇させることが明らかになっているが、Metsと診断されることで内臓脂肪を減少させるべく食事・運動療法を行い、動脈硬化性疾患の予防対策を効率的に行うことこそがMetsの概念を導入した考え方である。なお、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンなどのアディポカインはMetsの病態に関与するだけでなく、耐糖能異常、脂質代謝異常や冠動脈疾患とも相関を示すことが明らかになっている。

