TGF-β〈transforming growth factor-β、形質転換増殖因子〉

TGF-βは線維芽細胞に対する形質転換活性をもつ増殖因子として精製されたサイトカインの一種であるが、その後、種々の細胞に対する増殖抑制、分化、遊走、接着、炎症、免疫など、さまざまな作用の発現に関与することが判明している。

TGF-βは12.5kDaのポリペプチドがS-S結合した25kDaの2量体分子であり、TGF-β1~5の5種類のアイソフォームが同定されている(図)。

TGF-βの立体構造

TGF-βの作用は、細胞によって大きく異なり、上皮細胞、血管内皮細胞、リンパ球などの増殖は抑制するが、線維芽細胞、平滑筋細胞などの増殖に対しては促進的に作用する。卵巣、精巣、副腎などのステロイド産生細胞や筋細胞の増殖には影響しない。また、細胞の分化・遊走に対する作用もあり、上皮系細胞や軟骨細胞の分化促進、骨芽細胞や筋芽細胞の分化抑制のほか、線維芽細胞や炎症性単核球の遊走促進、内皮細胞の遊走抑制などを示すことが認められている。さらに、コラーゲン、フィブロネクチンなどの細胞外マトリックスの産生を促進し、これらマトリックスを分解するプロテアーゼの産生を抑制する。そのほかに増殖因子、サイトカインに対する作用も認められ、線維芽細胞や平滑筋細胞からのPDGF(platelet-derived growth factor、血小板由来増殖因子)の産生促進や、単球からのTNF-α(tumor necrosis factor-α、腫瘍壊死因子-α)やIL-1の誘導を示すこと、アポトーシスの促進や免疫能の抑制などさまざまな作用が報告されている。

TGF-βは肺線維症や肝硬変などの線維化を伴う種々の病態に関与し、また癌細胞の周辺の細胞においてその産生が亢進していることから、血管新生や細胞外マトリックスの増加や免疫能の抑制を介して癌の進展に寄与していると考えられている。この血管新生や細胞外マトリックスの増加といった作用は、創傷治癒にも関与している。

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