プレコンディショニング〈preconditioning;PC〉

プレコンディショニング(PC)とは、短時間の心筋虚血が先行することによって心筋が虚血耐性を獲得し、引き続く長時間虚血による心筋障害が軽減する現象のことである。1986年にMurryらが、麻酔開胸イヌにおいて5分間4回の心筋虚血を先行させると、それに引き続く長時間虚血による心筋壊死が縮小することをはじめて示した。

このPC効果は、先行虚血直後から出現し1~2時間で消失するearly phase PCと、虚血再灌流後24~48時間後に再び出現するlate phase PCの2つの時相に出現する。いずれの時相においても先行する短時間虚血の存在によってその後の長時間虚血時にもたらされる心筋内アデノシン三リン酸(ATP)含量の低下が抑制されることが、心筋保護の原因と考えられている。

機序に関しては、early phase PCではアデノシンとプロテインキナーゼC(PKC)連関によるミトコンドリアATP感受性K+(KATP)チャネルの開口が関与する。このPKCは、アデノシン産生酵素をリン酸化することにより活性化し、心保護作用をより効果的に獲得させる。Late phase PCでは熱ショック蛋白(heat shock protein;HSP)誘導、Mn-super oxide dismutase(Mn-SOD)、PKC活性化、NO産生などが関与する。

臨床的には、梗塞前狭心症を有する症例では心筋梗塞サイズが小さいことや、初回の冠閉塞時に比べて2回目以降では虚血が軽減することが冠動脈形成術施行時に認められることより、PCの存在が示唆される。しかしながら、現実的にPCの効果をあらかじめ獲得することは困難であり、そこでアデノシンやKATPチャネル開口作用を有するニコランジルといった薬剤によるPC(薬理学的PC)の臨床応用が期待される。

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