不安定狭心症〈unstable angina[pectoris];UA[p]〉

狭心症の中でも進行性で、特に急性心筋梗塞、心臓突然死に移行する可能性の高い狭心症を不安定狭心症と呼ぶ。具体的には、1週間以内に出現した安静狭心症、もしくは2ヵ月以内に出現したCCS分類classⅢあるいはⅣの新規狭心症、あるいはCCS分類が少なくともclassⅢあるいはⅣに増悪した狭心症、異型狭心症、非Q波形成型心筋梗塞、発症24時間以後の梗塞後狭心症が不安定狭心症に含まれる。こうした病態は冠動脈の狭窄に加え、冠血栓形成や冠攣縮に血小板凝集など複数の因子が組み合わさって、冠動脈内腔の閉塞が不完全かあるいは一過性の閉塞の場合に発生するとされる(図:狭心症)。

狭心症

不安定狭心症は心筋梗塞に移行することが多く、速やかな入院治療が望ましい。入院時は、軽症・無治療群では硝酸薬、Ca拮抗薬、抗血小板薬などの経口・経皮薬が、重症・既治療群では硝酸薬、へパリンの静注薬を基本とし、ニコランジル、ジルチアゼム静注薬が使用される。本症の75%は、薬物治療によって病状が安定する。入院後早期での冠動脈造影検査が望ましいが、特にPTCA(経皮的冠動脈形成術)後の再狭窄またはCABG(冠動脈バイパス術)後のグラフト不全例、虚血性心電図変化を伴う遷延性の胸痛が入院前に確認される例、高度狭窄病変が以前の冠動脈造影で明らかな例、再灌流療法後の梗塞部灌流冠動脈の再閉塞に起因する梗塞後狭心症例、虚血発作時に心不全を合併する例、また薬物治療抵抗性である場合には早期の冠動脈造影が必須であり、多くの場合緊急PTCAの適応となる。

本症の死亡率は10%前後で、いったん薬物治療で胸痛が消失すれば院内死亡率は1~2%、心筋梗塞の発症は7~9%の低率になる。PTCAの初期成功率は83~89%であるが、冠血栓の存在する例では急性冠閉塞の率が血栓を認めない例に比べ2~9倍高く、いったん急性冠閉塞となると院内死亡率は5%、心筋梗塞や緊急CABGの頻度は40%と高率になる。CABGを薬物療法と比較した場合、左室機能障害例ではCABGのほうが予後がよいとの報告がある(Veterans Administration Cooperative Study、1984年発表)。

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