房室ブロック〈atrioventricular(AV)block〉

房室ブロックとは、房室伝導系を刺激が伝導される際にそのいずれかの部位において伝導時間に延長あるいは伝導の途絶があり、その結果、房室伝導時間の延長や、心房-心室間での伝導の途絶がある場合をいう。原因は先天性と後天性に大別される。先天性のものは単独でみられる場合もあるが、約半数は先天性の心奇形に合併して認められ、修正大血管転位や心室中隔欠損を伴う心奇形あるいは心内膜線維弾性症で頻度が高い。後天性のものは伝導系を含む心筋の炎症、浸潤、変性、外傷などによって生じる。炎症性のものはリウマチ熱やその他の非特異的心筋炎に伴ってみられ、膠原病や梅毒による場合もある。浸潤性のものとしてはアミロイドーシス、ヘモジデローシス、サルコイドーシスや腫瘍の浸潤によって伝導系が障害されるものもある。変性によるものは、以前は虚血がその主たる原因と考えられていたが、現在ではむしろ原因不明の伝導系における線維症が重要視されている。日常診療上経験する房室ブロックは特発性といわざるをえない伝導系の線維症によるものが多く、次いで虚血、心筋炎、リウマチ性心疾患、左心弁輪の石灰化によるものがある。程度、部位、持続により(表1)のように分類される。

房室ブロック

部位による診断は心電図上では困難であり、また治療方針決定のためヒス束電位記録が必要である。ヒス束心電図上、A-H間隔の延長を認め房室結節でのブロックをA-Hブロック、A-H1、H2-Vは伝導を保たれているが、H1、H2間で伝導途絶を示すヒス束内ブロックをBHブロック、H-V間隔の延長を認めヒス束以下からプルキンエ系における障害をH-Vブロックという。

本症に対する治療は経過観察か、ペースメーカ植込み術である。薬物治療は、急性心筋梗塞などの際に一過性に生じる例に対して硫酸アトロピンやプロタノールを用いる以外は使用しない。失神やめまいまたは血行動態が著しく障害される症例に対しては、ペースメーカ植込み術の適応となる。(表2)にペースメーカ植込み術の適応を示す。

房室ブロック分類とペースメーカ植込みの適応

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