心室[性]期外収縮〈ventricular premature contraction;VPC(=premature ventricular contraction;PVC)〉

最も頻度の高い不整脈の1つで健常者にも認めるが、多くは心臓疾患やその他の異常(電解質異常、低酸素、アシドーシス、薬剤性、交感神経緊張)において認める。

心室性期外収縮は正常心拍の予定興奮時期より早期に異所性刺激が心室内に出現し、QRS幅は0.12秒以上でT波はQRS波の主棘方向と逆方向を示す。左室から発生したものは右脚ブロック型、右室から発生したものは左脚ブロック型を示す。

心室性期外収縮の予後は基礎疾患の有無、心機能低下の有無により大きく異なるため、①自覚症状、②出現頻度・出現様式、③基礎心疾患・心機能の評価が重要である。心室性期外収縮の重症度分類としてはLown分類が臨床上広く用いられている。

明らかな基礎疾患のない場合の予後は良好であり、散発性で自覚症状、基礎疾患、危険な発症様式、運動による増加などがなければ治療は必要としない。出現頻度の多い場合や、基礎疾患があり心室細動のような致死的不整脈に移行する可能性が高いLown分類のgrade3以上では、注意深い観察と適切な治療が必要である。薬物療法では、Ⅰa群抗不整脈薬(ジソピラミド、シベンゾリン、プロカインアミド)、Ⅰb群抗不整脈薬(メキシレチン、アプリンジン)、Ⅰc群抗不整脈薬(プロパフェノン、フレカイニド)、β遮断薬などが用いられる。

(参考:Lown分類