シンビット静注用 使用上の要点

重症不整脈例での使用経験から本剤使用上の要点をまとめる。


シンビット静注用50mgの効能・効果

  • 生命に危険のある下記の不整脈で他の抗不整脈薬が無効か、又は使用できない場合
  • 心室頻拍、心室細動

抗不整脈効果と用法1)

  • ①半減期は90分と短く、単回静注で即効し、維持(点滴)静注で効果の維持が期待できる。
  • ②DCショックを効きやすくする作用があるので、最大出力のDCショックでもVFが停止しない時は速やかに本剤を静注し、再度DCショックを試みる。
  • ③単回、維持ともに初期投与量は低用量から開始する。
  • ④維持(点滴)静注中は複数の誘導で心電図をモニターする。
  • ⑤効果が不十分な場合は、QTの延長度などを見て増量や単回静注の追加を行う。

シンビット静注用50mgの用法・用量

  • 単回静注法
     通常、成人にはニフェカラント塩酸塩として1回0.3mg/kgを5分間かけて心電図の連続監視下に静脈内に投与する。
  • 維持静注法
     単回静注が有効で効果の維持を期待する場合には、通常、成人にはニフェカラント塩酸塩として1時間あたり0.4mg/kgを等速度で心電図の連続監視下に静脈内に投与する。

  • なお、年齢、症状により適宜増減する。
    投与に際しては、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で溶解して使用する。

<用法・用量に関連する使用上の注意>

  • (1)単回静注を繰り返し行う場合には、血中濃度の過剰な上昇を回避するため、直前の投与後2時間以上の間隔をあけて投与すること。
  • (2)本剤は同時に使用する薬剤や調製条件によっては、配合変化を生じることがあるので、薬剤の選択及び調製条件等に十分注意して使用すること。[「適用上の注意」の項及び配合変化の結果参照]

Torsade de pointesの予防1)

  • ①QTの過剰な延長によるTorsade de pointes(TdP)を避けるために、低用量から開始する。
  • ②低K血症に注意し、血清K値を4.5mEq/L前後に保つ。
  • ③心電図モニターあるいは12誘導心電図で維持静注中にQT=500msecあるいはQTc=550msec程度に延長し、かつ治療対象不整脈が抑制されている場合は減量ないしは中止を考慮する。
  • ④同一の点滴量を投与していても、突然にTdPが出現することがあるので、心電図モニターの監視を継続する。
  • ⑤T波形の変化やQTcの顕著な延長(QTc>600msec)、かつ新たな心室性期外収縮の多発が認められた場合には、速やかに一旦中止する。(→図1参照
  • ⑥徐脈(60/分以下)もQT延長を助長するので、心拍数にも注意すること。人工ペーシングが可能な症例では心拍数70-80bpmを維持する。

Torsade de pointesの処置1)

  • もし、TdPが発生したら直ちに投与を中止する。
  • MgSO4の緩徐静注(0.5-1.0g;5分間以上かけて静注)または一時的人工ペーシングを処置する。
  • 図1. 虚血性心疾患に難治性VTを合併した症例におけるシンビット静注中のQT変化(TdP発現直前までの経過;胸部誘導)

    図1 虚血性心疾患に難治性VTを合併した症例におけるシンビット静注中のQT変化(TdP発現直前までの経過;胸部誘導)
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  • A 0.2mg/kg単回静注直後。
    VTの再発は抑制されたため0.2mg/kg/hrの維持静注を開始。
  • B 維持静注開始9時間後。
    V2、V3での著明なQT延長が認められる(QTc=656msec)。一方、V5でのQTcは544と延長は軽度。
  • C 維持静注開始13時間後。
    全ての誘導でQTの著明な延長とT波形態の変化が出現。心拍数の低下によりシンビットのQT延長作用が増強されている。この直後にTdPが発生した。

1)栗田 隆志 他: 心電図, 29(1), 10(2009)

効能・効果、用法・用量、警告・禁忌を含む使用上の注意等詳細は添付文書等DIをご参照ください。

図1. 虚血性心疾患に難治性VTを合併した症例におけるシンビット静注中のQT変化(TdP発現直前までの経過;胸部誘導)

図1. 虚血性心疾患に難治性VTを合併した症例におけるシンビット静注中のQT変化(TdP発現直前までの経過;胸部誘導)
  • A 0.2mg/kg単回静注直後。
    VTの再発は抑制されたため0.2mg/kg/hrの維持静注を開始。
  • B 維持静注開始9時間後。
    V2、V3での著明なQT延長が認められる(QTc=656msec)。一方、V5でのQTcは544と延長は軽度。
  • C 維持静注開始13時間後。
    全ての誘導でQTの著明な延長とT波形態の変化が出現。心拍数の低下によりシンビットのQT延長作用が増強されている。この直後にTdPが発生した。