今年のHeart Rhythm 2023は、5月19日~21日の間、ニューオーリンズのErnest N.Morial Con-vention Centerで開催された。発表およびディスカッションが活発に行われ熱気を感じる学会であった。以下の2演題をピックアップした。
Late Breaking Clinical Trials and Scienceで、米国のLakkireddyらは、MONITOR AF Studyの結果を報告した。植え込み型心電計(ICM)を導入した心房細動(AF)患者と導入しなかったAF患者(Non-ICM)を登録した。合計2458人の患者が登録された(ICM群-1152人、Non-ICM群-1306人)。患者背景は、平均年齢73 vs 74歳、男性65 vs 62%、発作性AF68 vs 65%だった。平均24カ月の追跡調査において、抗不整脈薬開始までの期間(36 vs 46日)、初回アブレーションまでの期間(5 vs 14カ月)、再アブレーションまでの期間(73 vs 165日)は、ICM群がNon-ICM群に比べ短かった。脳卒中または一過性脳虚血発作、AF関連入院、心不全関連入院、出血性合併症もICM群がNon-ICM群に比し少なかった。Lakkireddyらは、「ICMを用いたAF管理は標準管理よりも優れており、AF関連合併症を減らした」と結論付けた。 【筆者の感想】ICM群の有益性が脳卒中等のハードエンドポイントで証明された意義は大きい。会場でも拍手が起きていた。しかし侵襲的かつ高額なICMをAF患者にすべからく使うことは現実的でない。近年普及してきた7日間ホルター心電図を上手く工夫して使用すれば同様の結果が得られるのではないだろうか?興味を覚えた。
一般口述発表で、韓国のChoiらは、国民健康保険サービスを利用して、2年以内に診断された糖尿病を有するAF患者を、1年以内に早期リズムコントロールを受けた群と通常治療群に分けた。患者数は47,509人(年齢66.7歳、男性61.8%)で平均追跡期間は4.3年。多変量解析で、早期リズムコントロールは虚血性脳卒中リスクを23%、大血管合併症を21%、微小血管合併症を13%、総死亡を8%減らした。この早期リズムコントロールの有益性は、糖尿病の既往(5年未満 vs 5年以上)、糖尿病治療薬数(3未満 vs 3以上)にかかわらず認められた。Choiらは、「糖尿病AF患者における早期リズムコントロールは、糖尿病性合併症を減らすうえで有益である」と結論付けた。 【筆者の感想】EAST-AFNET41)を機に、早期リズムコントロールの有益性がクローズアップされている。ただ早期リズムコントロール群と通常治療群の差は大きくはない1)。どのような背景を持った患者に早期リズムコントロール群が適しているかを明らかにする必要がある。「糖尿病」を「心不全」に置き換えたら、どういう結果が得られるのだろうか?興味を覚えた。 さて、2005年8月末に米国南東部を襲ったハリケーン・カトリーナの惨状からニューオーリンズは確実に復興していた。フレンチクオーターも、2016年AHAで訪れた時より賑やかであった。オイスターバーで食べた殻付きの生ガキ、焼きガキはとてもおいしかった。ボストンで開催されるHeart Rhythm 2024が今から楽しみである。


2024年10月作成
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