カルディオトロフィン-1〈cardiotrophin-1;CT-1〉

カルディオトロフィン-1(CT-1)は、ES細胞(胚性幹細胞)の培養液上清よりクローニングされた心筋細胞肥大因子で、203残基のアミノ酸よりなる21.5kDaの蛋白質である。インターロイキン6(IL-6)、IL-11、leukemia inhibitory factor(LIF)、ciliary neurotrophic factor(CNTF)、oncostatin Mなどと共通の構造をもち、IL-6スーパーファミリーに属する分子で、体内に広く発現している。CT-1はGP130と呼ばれる膜貫通型の情報伝達分子とLIF受容体の2量体に結合し、Jak(Janus kinase)-STAT(signal transducer and transducer of transcription)系、MAPキナーゼ(mitogen activated protein kinase)系、PI3キナーゼ→PKB/Akt系を活性化する。

CT-1の心筋細胞における情報伝達は、LIF受容体とgp130の受容体の2量体がgp130と共存しているJak1、Jak2をリン酸化し、引き続いてSTAT1、STAT3のリン酸化と核内移行を惹起し、標的遺伝子の転写を促進させる。MAPキナーゼ系、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3キナーゼ)系の活性化機序についてはまだ十分に明らかにされていない。

CT-1の心筋に対する作用として、心筋細胞肥大作用と心筋細胞のアポトーシス抑制作用が知られている。前者にはJak-STAT系が、後者にはMAPキナーゼ系、PI3キナーゼ→PKB/Akt系が関与していると考えられている。さらにPI3キナーゼはpp70S6キナーゼを活性化し、蛋白質合成にも関与している。心筋肥大に関しては、G蛋白質を介した肥大は細胞の横径が主に増加し、新たな心筋線維が平行に増加するが、CT-1によるものでは長径が増加し、新しいサルコメア単位が増加する。分子レベルにおいてはG蛋白質を介した肥大は心房性Na利尿ペプチド(ANP)、骨格筋型α-アクチンなどの発現誘導を認めるが、CT-1によるものはANPの発現は認めるものの、骨格筋型α-アクチンの発現増加は認めない。

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