T/P比〈trough/peak ratio〉

降圧薬の中には、効果が急激に現れ作用時間が短いものがある。このような降圧薬を用いて1日中降圧効果を得ようとすれば、頻回に投与するか1回量を多くせざるをえない。しかし、これは反射性の交感神経興奮を引き起こし、さまざまな副作用や長期予後悪化の原因となる可能性がある。そこで降圧薬の持続性を定量化し、適正な服薬間隔を決定するための指標として、trough/peak ratio(T/P比)の概念が、米国食品医薬品局(FDA)より1988年に提唱された。

T/P比を求めるには、投薬後効果が安定した時期に行うABPM(携帯型24時間連続血圧記録計)のデータが用いられる。ABPMによる血圧日内変動から降圧効果が最も減弱している時点の拡張期血圧(trough値:一般に服薬直前値)と、降圧薬投与後最大降圧が得られた時点での拡張期血圧値(peak値:一般に服薬後2~4時間後)を求める。実薬投与後の効果からプラセボ効果による降圧値を引いたT値、P値の比がT/P比となる(図)。

T/P比の測定方法

T/P比の目標値は、一般に0.50~0.75といわれている。Dipper/non-dipper、早朝昇圧(morning surge)など、血圧の日内変動と予後の関係の重要性が注目されるなか、従来の降圧薬に対する容量-降圧度に基づく考えに時間的概念を定量的に持ち込んだものとして意義は大きいと考えられる。しかし、T/P比には解決すべきさまざまな問題点がある。技術的なものとして、T/P比そのものの計算法、ABPMの再現性がある。また、T/P比は個人差が大きく、集団で求めた高いT/P比がそのまま個人に適用できないことも多い。さらに、T/P比の理想値は個々の病態によっても変わることになり、一概にいえない。よって個々の症例において治療薬を選択する際は、現段階でのT/P比の限界を把握しながら参照することが重要である。

(参考:ABPM

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